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思い出のラーメンの味が不味かった・・・??

昔、私が小学生のころ、両親がよく隣町のラーメン屋さんに連れていってくれました。

幼いながらにも、大きいチャーシューと美味しいスープがたまらずに、外食の機会があれば、自らリクエストするほど、好きな店でした。

 

家族みな口をそろえておいしいという、そんなお店でした。

 

もちろん、連日満席という人気店でした。

時間帯を間違えれば、並ぶこともあるくらいです。

 

間違いなく、あのラーメン屋は私の家族の思い出の味でした。

 

でも、そんなラーメンともおさらばすることになってしまったのです。

 

ある日、いつものようにそのラーメン屋に向かったところ、なんとその店が跡形もなくなくなっていたのです。

 

その時の記憶はあいまいでしたが、後で聞くところによると、どうやらそのラーメン屋は移転したらしく、その移転が結構前だったらしく、店舗は跡形もなくなくなっていたのです。

 

私たちも隣町なので、そこまで気軽に行けるような感じではなく、3カ月おきに行ったりしてたので、タイミングが悪かったというのもあります。

 

せめて、移転先でもと思ったのですが、当時はスマホなどもなく、そこまでネット上に情報がなく、結局移転先を知ることもできずに、そのラーメン屋に行くこともなくなってしまいました。

 

と通常だと、ラーメン屋は見つからずに思い出の味でしたと物語としては終わりなんですが、まだまだ続きます。

 

そんなラーメン屋のことなど忘れていたある日のことです。

 

奇跡が起こりました。

 

当時、私も車の免許を取り、行動範囲も広がり、隣町にも余裕でいけるようになっていました。

 

なんと、たまたま走っていた道沿いに、その当時、私たち家族が愛していたラーメン屋と同じ名前の店舗が見つかったのです。

 

あの時の名前と全く一緒です。

 

これはもしや!!

 

感動でうっすら涙も出たくらいです。

もちろん、迷わずに暖簾くぐり、当時愛してやまなかったラーメンを注文しました。

 

大将も多少を老けたけど、同一人物だとわかります。

 

まさにここが移転先だったのだと確信しました。

以前の店よりも小奇麗な店舗になっていました。

 

でも、少しだけ違和感が・・・・客が少ない・・・。

 

まぁ昼時から少しづれた時間なので、みんな帰ったのかな?なんて思っていると、おまちかねの醤油ラーメンが来ました。

 

じつに、5年ぶりくらいの対面です。

 

うん、そうそうこの大きなチャーシュー!!おいしそう!!

見た目は当時と全く変わりませんでした。

 

まずはスープからいただこう!!

 

レンゲを使って、スープを口に運んだ!!

 

すると・・・・・あれっ!?なんか違うかな・・・。

 

こんな味だったっけ?

 

いや麺と食べてないから違和感があるのか?

 

と戸惑いながらも箸を進めていき、全部食べ切ってみたものの、やはりどこか違う。

 

私の思い出の味はもうなくなっていました。

 

マズイとまでは言えないが、おいしいとまでは言えない。

あの当時の味では少なくともないと思いました。

 

なんだか、悲しい気分になりましたが、現実にそう思ってしまうのだから仕方ありません。

 

しかし、私もうれしかったくらいだから、もしかしたら両親を連れて行けば、喜ぶかも知れないと思い両親を誘って、行くことにしました。

 

もしかしたら、本当は当時の味とは全然変わりはなく、幼かった私の味覚が変わったのかととも思いました。

 

両親を試してみようと、味が変わったような気がするとは伏せて、両親を連れて行ってみました。

 

両親も久しぶりだったのか、どこか興奮気味です。

 

そして、両親が好きだったみそラーメンをごちそうすることにしてみました。

 

両親は特に何も言葉を発さないまま、静かに、ラーメンを食べきりました。

 

店を出て、車内で両親が静かに言葉を発しました。

 

「昔はあんな味ではなかった、おいしくはない」

 

やっぱり!

なんかちょっと悲しくなりましたが、これも思い出の味ってことで、仕方ないと思っています。

 

果たして、私はあの日、偶然思い出のラーメン店の移転先を見つけない方が幸せだったんでしょうか?

 

そして、あの店があの思い出の味を取り戻すことはあるのでしょうか?

 

何度かまた足を運びたくなりますが、ぐっとこらえて行っていません。

 

私の思い出の味でした。

 

 

 

 

 

お題「思い出の味」